登山靴顛末記
by うまじ~ - 7 月 2nd, 2008.Filed under: 随筆. Tagged as: 登山 靴 山.
私とEさんの出会いは、白島小学校で同学年になったときである。ともに山好きで、奥さんの御父上と私と父が昵懇であったことから、すぐに意気投合し、よく山の話をした。けれども、一緒に山へ登ることが一度もなかったのだから不思議である。
それは、同じ山好きでも、彼は家族の心配もよそに冬の大山へ単独で登るような求道的な面があり、私はあちらこちらと方々の山を歩いて自然と親しむ、さすらい人のような面があって、山に求めているものが少し違っていたからかもしれない。
吹雪との格闘に備えて、普段からピッケルの柄に亜麻仁油をぬっておくとか、アイゼンは八本ヅメでないとアイスバーンの上を歩くとき危険であるとか、冬山のきびしさについて語る彼の顔に、その芯の強さがうかがえた。処女出版になった、詩集「せみのたんじょう」の中で次のように山へ呼びかけている。
山よ
おまえたちは
変わることのない
性格と心を持っている。
ところが、その彼にある重大事が持ち上がったのである。というのは、彼の登山靴が度重なる酷使で傷んで、もう長く履けそうになくなってきたのである。
(続く)